『イイね! アレは、ほんとイイ車だよ!』
『俺の故郷で、もっともイイ車さ。大人になった男は、みんな欲しがるんだ』
『よし! ならば任せておけ! すぐ用意してみせよう』

 ――と、いう事になり、彼らが協力に手を挙げて向こうの特殊機関のルートを使い、日本に届けてくれる事になったようだった。

 おかげで、日本の〝ナンバー4〟がスポーツカーをそんなに欲しがっている、と勘違いされたみたいだ。しかし、まぁ、よしとする。

 うん、僕が運転するわけでもないんだけど、とにかく助かった。

 雪弥は、ようやくホッと息をつく事が出来た。昨夜の話しの中でも、宮橋が車に傷を付けてしまった件を、かなり根に持っていると分かった。

 希望外のカラーで弁償したら、絶対に納得してくくれないだろうなと思ったから、夜狐から経過報告が送られ始めてから、そちらの事しか考えられなかったのだ。

「そうか、数日内では日本へ届けられそうなのか」

 ふぅ、と一息吐いて〝白豆〟が呑気にぶらさがっている携帯電話を、スーツの内ポケットへとしまった。