「え。でも、あの、僕らしくないと言われても、家の事は仕方ないんですよ。分家との付き合いも大事にしている家ですし、僕は嫌われていますし」
「今更とはいえ、離れられて困るのは親戚全員だと思うけどね。君が家名の返上、つまり正式に絶縁を提案した時は、おおいに慌てたろうと思うぞ」
「あの、なんでそれを知っているんですかね……?」

 ん?と疑問を覚えた雪弥に構わず、宮橋はビールをぐびーっと喉に流し込んでから、再び話し出す。

「人様の車を勝手に持ち上げようとしたり、常識外れにも逃走犯を車内から引きずり出すという予想外に荒技に出たり、あれだけ傷付けるなと言い聞かせていたのに僕の車を凹ませたり」
「宮橋さん、車の件、かなり根に持ってますよね?」
「つまりは、一番は『君がどうしたいのか』なんだよ」

 自分が、どうしたいのか。

 その言葉が、やけに耳に綺麗に響くようで雪弥は考えてしまう。すると、続けて宮橋のこんな声が聞こえてきた。