外はすっかり暗くなっていた。マンションの最上階から見渡せる屋系は美しく、一面のガラス貼りにソファに座る自分の姿が映っている。

 ――またしても、泊まりである。

 雪弥は、タオルを首から引っ掛けた状態でぼんやり座っていた。きちんと乾かせよと寄越されていたものの、もう十分に拭ったしいいだろうかと考える。

 コンタクトは、部屋に上がってすぐに外していた。昨夜と同じく、宮橋が「似合わない」だの「違和感ありすぎる」だのと好き放題言ってきたからだ。

 正直、あの人が分からない。

 靴を脱ぐ前に、コンタクトを外すように命じられたのは初めてである。あの人には、堪えというものがないのだろうか?

「なんか、どっと疲れてしまった……机仕事は苦手なんだよなぁ」

 つい、秘書のごとく兄の蒼慶の仕事もサポートしている、あのちょっと変な万能執事を思い出してしまう。

 署で腹ごしらえをした後、宮橋のL事件捜査係の事務処理に付き合う事になった。彼が普段から決まった時間に仕事をしないせいで、すっかり溜まってしまっていたのだとか。