疑う様子もなくオレンジジュースを口にしているのを、宮橋はしばし何も言わないままじっと見つめていた。面倒だから何も言わずにおこうと決めたかのように、一つ頷く。

「あの馬鹿三鬼が、ちょっと厄介なものを持ってきてね」
「ばかみき?」
「僕の同期で同僚さ。同じ三十六歳で、名前は三鬼薫。名前ゆえか縁があったのかね――とりあえず、あいつにはなんでもないと言い聞かせて、さっきこっそり僕の方に回してもらったのさ」

 ざっくりと説明しながら、ポケットを探ってテーブルへと小袋を置く。その中には化石みたいな小さなものが入っていて、コツリ、と音を立てた。

「これは?」
「被害者が持っていた、とある『骨』だ」
「え。そんなもの持って来て良かったんですか?」
「勿論ダメに決まっているだろう」

 だが、と言いながら宮橋が椅子にもたれかかって足を組み直す。セットされている少し癖のある豊かな薄栗色の髪が、彼の端整に顔にさらりと掛かっていた。