とは思ったもの、雪弥は遠慮して聞かずにいた。

 唐突な応援要請だったが、事件は解決した。それについては宮橋本人も「予定より時間はくわなかった」「よくやった」と雪弥に言っていた。

 ――とはいえ彼の機嫌は、やや悪い。

 原因は、彼の青いスポーツカーを、雪弥が傷付けてしまったせいだ。

 持ち上げようとして、すみません。つい、一番近くにいい大きさの投げられるやつがあるな、と思ってしまったんです……。

 雪弥は、あれから反省中だった。思い返せば、初めて車に乗せてもらった時から、散々「車を傷付けるな」というような事を言われていた気がする。それが、うっかり頭の中から飛んでしまっていたのだ。

 夜狐からは、急ぎ手配の方をしてみますと返答をもらっていた。他の一桁エージェントと違って、雪弥はあまりこういったプライベートな指示はほとんどない。

 ――国家特殊機動部隊暗殺機構。

 そこから、各一桁エージェントに一部隊ずつ分与えられてもいる。