直後、雪弥は青年たちを、宮橋のいる方へ一人ずつ放り投げていた。

 少し移動していた宮橋が、飛んでくる青年たちを見据えて待ち構えた。腕――ではなく、足を上げ、それぞれ彼らの顔面を靴裏で受け止める。

「よし、よくやった雪弥君。次は車だ」

 宮橋は、ぴしゃりと次の指示を出した。

「強盗した際の黒いジャンパーを取っていない、四人の青年が乗ったあの白いやつがそうだ、君なら見えるだろ」

 宮橋が、最後の一人を足で受け止めて横にどかしながら指示する。地面にべしゃりと落ちた青年たちが、「扱いがひどい」と呻く声をこぼす。

 雪弥は指示された方向を見た。同じ進行方向から、他の車よりもスピードを上げて向かってくる普通乗用車が見えた。中には、揃いの黒いジャンパーを着た人間が四人。

「あれ、壊してもいいんですか?」

 車間距離をはかりつつ、雪弥はひとまず指をちょっと向けて宮橋に確認する。

「盗難車だ。だが、構わん」

 拳を落とす準備をしていた宮橋が、いい顔で彼へ頷き許可を出す。途端に足元にいた二人の青年が、「いいの!?」と宮橋を見上げた。