「それで? その逃走車たちは、いつ頃こっちに到着しそうなんですか?」
「そろそろじゃないか?」

 適当な感じの口調で答えた宮橋が、同じ車線側の向かってくる方を見て「あ」と声を上げて、続けた。

「あれだ。あの400のCB。赤いヘルメットと白いヘルメットのガキが、二人乗っているだろう」

 言いながら、ほらそこだと指を向ける。

 雪弥としては、三十六歳だという宮橋がかなり若い容姿をしているので、なんだか彼が「ガキ」という言い方をするのが慣れない。

 そう思いながら、雪弥は宮橋のいう方を目視した。そこには、二人乗りをした該当するバイクが一台あった。他の車と同じ速度で、こちらへと向かって流れてくる。

「止めればいいんですよね?」

 雪弥は、スーツの袖口を整えつつ確認した。

 青いスポーツカーから、宮橋が一歩離れて頷く。

「まずは止めろ。次に車が来るから、ひとまずバイクの二人は速やかに僕のところ寄越せばいい。ストレス発散の一環で、僕が拳骨を落として捕獲する」