『あ? それ、ってのはなんだ?』
「いいだろう、ついでに手伝ってやる。この前、パトカーが接触したところがあっただろう。お前、真っすぐそこへ向かってこい。僕らは先に到着しているはずだ」
『あっ、おいコラ宮橋――』

 そこで、三鬼の声が、ぷつりと途切れる。

 宮橋に目で指示されて、雪弥が通話ボタンを切ったからだった。

「いいんですか? 途中なのに切っちゃって」

 通信の途絶えた画面を見ていた雪弥は、目を戻しながら念のため確認した。

「問題ない。僕は、用件を言い終えた」

 ……いや、あなたの言い分じゃなくって、彼の言い分を聞かなくて良かったのか、と僕は確認したかったんですけど。

 そう思いながらも、雪弥は宮橋の胸ポケットに携帯電話をそっと戻した。

「ついでだ、君にも仕事をさせてやろうと思ってね。言うだろ、人材と戦力は使いようって」

 言いながら、宮橋が不服そうな顰め面でブレーキレバーを引っ張り、ハンドルを大きく切った。