風間の店をあとにし、再び乗り込んだ宮橋の青いスポーツカーで、来た道を戻るように進んだ。

 出勤ラッシュもとっくに終わっている国道は、先程よりもすいている様子が目立った。客の乗せていないタクシーがのんびりと走っている。

「宮橋さんが見付けたその場所、結局のところ都内でしたね」

 雪弥が思ったことを口にすると、ハンドルを握っている宮橋が、どこか皮肉げに口角を持ち上げた。

 まさか来た道を、県警がある地へ向けて真っすぐ進むなんて思っていなかった。宮橋が少女の向かう先と推測した場所は、彼のマンションから恐らく見える風景の中だろう。

 彼のことだから、すぐに返答があるのかなと思っていた。

 でも、しばらく発言はなかった。雪弥がようやく車窓からそちらへ目を向けてみれば、宮橋は前を見たままだった。

 彼は太陽の光りが眩しく照りつける前方の公道を、じっと見据えている。その綺麗な横顔は、まるで一人何かを呑み込んで、思っているかのようで。

 ――そして、雪弥には、どこか心を痛めているようにも見えた。