風間の言う『倉庫』の中を、そのまま奥へと進んだ。窓は一つもなくて、天井近くにぽつぽつと空いた通気口から差し込む明かりで、薄暗い風景がぼんやりと浮かび上がっているくらいだった。

 ここは、本当に倉庫としてあるようだ。先程まで通ってきたところと違って、誰かに見られるように配慮された〝展示〟はなかった。

 物が一層、ごちゃごちゃとまとまりなく置かれている。保存のために布がかぶせられていたり、ガラスケースに入れられている物が床の上までも埋め尽くしてあった。

「んで? 宮橋先輩のおめあては、一体なんすか?」

 ふと、風間が思い出した様子で、肩越しに振り返って宮橋に尋ねる。

「『怨鬼の衣』だよ」
「それはまた、かなりのレア物っすね。んでもって、実在する『怨鬼の衣』のオリジナルのうち、三着は俺が持っているんですけどね!」

 にこーっと風間がご満悦の様子で笑う。

 滅多にない『鬼の着物』。それを三つもと考えると、蒐集かとしてはめちゃくちゃ嬉しく思ってしまうくらい、たっぷり自慢できる事……なのかもしれない。