「俺の生活部屋とかは、ちゃんと別にあるんで誤解しないように。ここは、店専用のところなの」

 きょろきょろとしている雪弥に向かって、風間が先に言った。

 室内には展示ケースが置かれていて、古い物が色々と置かれてある。骨董、甲冑、絵、アクセサリーといった装飾品や胸当て、よく分からない置物も大小様々だった。

「なんだか、ごちゃごちゃしていますね」

 雪弥は、しばし考えたところで、素直な感想を口にした。

 するとようやく上がった彼の発言に、前を進んでいる風間が一瞬、がくっと歩みを落としかけた。

「正直な新米だなぁ……仕方ないじゃないか。俺は、元はただの蒐集かで、家の大半の物置き部屋を店にしただけなんだから」

 ――〝蒐〟集。

 ふと、雪弥は「収集」が「蒐集」とも書ける事に気付いた。昨日は『また骨だ』と思ったものだが、また、鬼だ。

「名は引っ張る、縁があるのさ。はじめっからずっと〝鬼〟繋がりだ」

 まるで心でも読んだタイミングで、宮橋が言ってきた。雪弥が目を向けるそばで、風間が訝って肩越しに振り返ってくる。