「風間、そいつは僕の下僕だ。僕が投げ飛ばせと指示したら、お前は空を飛ぶ事になる」
「マジすか嘘でしょ!? つか、新しいパートナーの新人を下僕呼ばわりって、相変わらずひっでぇ!」

 確かに。

 雪弥は、風間の言葉に同意できた。でもまぁ新米刑事でもなんでもないんですけどね、と、こっそり思って何も言えない。

「ちなみに彼は、僕以上の怪力だよ」
「えええぇぇ! 宮橋先輩以上のバケモノがいるんですか!?」
「失礼だな。僕は普通だぞ」
「普通じゃないっすよ! あんた、教授のバカ重い机も放り投げてたじゃな――」
「無駄話を続ける気なら、雪弥君に放り投げてもらおう」
「勘弁してください今すぐ案内します!」

 とうとう風間が、半泣きでそう叫んだ。

 ああ、つまりただの脅しの一役を買われたわけかと、雪弥はようやく理解したところでこの雑用役にはちょっと呆れたりした。

          ◆◆◆

 風間の案内で、雪弥は宮橋と共に店内を進んだ。外から見ると普通の一軒家という感じもあったのだが、中は小さな窓がいくつかあるだけで薄暗いイメージがあった。