「ふははははは、それに〝僕だって侵入する事が出来ない〟だって?」
「あ、この笑い。めっちゃ嫌な予感っす」
「君は面白い事を言うね。たかが蒐集か、そして魔術師風情の連中が寄越した結界――この僕に突破できないわけがないだろう。必要なら、力付くで踏み入るまでさ」

 宮橋が、ゴキリと手を鳴らした。

 実に愉しげというか、悪党じみた笑顔である。それを目の前にした風間が、泣きそうな顔で慌ててこう言った。

「か、勘弁してくださいよ宮橋先輩っ。そんなに俺の管理を疑っているんですか? た、確かに最近、あんたにぶっとばされたせいで、新しい用心棒達もまだ病院から帰ってないですけど、侵入なんて本当にされていないと思――」
「あの二人の大男、まだ復帰してないのか? やれやれ、実に軟な用心棒だな」
「あんたが度を知らなすぎるんですッ」

 どうやら車だけでなく、用心棒の人間にも何やらやったらしい。

 見た目の印象を裏切るくらい腕力でいく人でもあるようだと、雪弥は他人事のように傍観していた。病院送りって、その時には何があったのだろうか?