やがて、スポーツカーは減速して住宅街を抜けた。その先にあったのは、古いフェンスを持った、だだっ広い砂利場の個人敷地だった。

 どうやら、砂利部分は駐車場になっているらしい。打ち込まれた数台分の駐車線に従い、そのうちの適当な場所で青いスポーツカーが停車した。

 宮橋と共に車から降りた雪弥は、その敷地の奥にある一階建ての物件に目を向ける。

 それは、くすんだ白いコンクリート壁をした建物だった。玄関の入り口は、引き戸式になっており、奥の方から倉庫のような別建物がチラリと覗いていた。

「ここが、僕の知っている奴の『店』だ」

 そちらへと向かい出しながら、宮橋が言った。

「看板もありませんし、お店というより普通の一戸建てのようには見えます」
「元は、風変わりな収集家みたいなものだからな。それに出入り訪問客も、僕らみたいな〝そちら関係の専門家〟か、それを調べたいとする者が来る程度だ」

 そう宮橋は雪弥に教えると、戸の前に立つなりガンガン叩いて鳴らした。