「なんですか?」
「いや? なんというか大抵、そうやってスムーズに話を進めるような反応はされなくてね。君も、大概〝こちら側〟と無縁でないせいかな」
「はぁ。僕は、何かしら他にリアクションを取った方が、良かったんですかね」
あまり質問はするな、と先に言ってきたのは宮橋さんの方では、と雪弥はこっそり思ったりした。
宮橋は「まぁ別にいいよ」と言うと、座席に背を戻していった。少し車のスピードを上げて、のんびりと走っていた前の数台を追い抜いていく。
「彼女が羽織っていたあの着物は、恐らくは『怨鬼の衣』の一つだよ」
怨みに鬼、と語られているタイプの【変身物語の鬼】。
その女性達が着ていた着物は、ひとまとめに『怨鬼の衣』と呼ばれているらしい。有名ないくつかは実在していて、その中には〝存在を確認されていない幻の物も〟あるという。
「実在しているのか分からないのに、幻の物としてシリーズの中に入っているのも、不思議な感じがするのですが」
話を聞き届けたところで、雪弥は素直な疑問を口にした。
「いや? なんというか大抵、そうやってスムーズに話を進めるような反応はされなくてね。君も、大概〝こちら側〟と無縁でないせいかな」
「はぁ。僕は、何かしら他にリアクションを取った方が、良かったんですかね」
あまり質問はするな、と先に言ってきたのは宮橋さんの方では、と雪弥はこっそり思ったりした。
宮橋は「まぁ別にいいよ」と言うと、座席に背を戻していった。少し車のスピードを上げて、のんびりと走っていた前の数台を追い抜いていく。
「彼女が羽織っていたあの着物は、恐らくは『怨鬼の衣』の一つだよ」
怨みに鬼、と語られているタイプの【変身物語の鬼】。
その女性達が着ていた着物は、ひとまとめに『怨鬼の衣』と呼ばれているらしい。有名ないくつかは実在していて、その中には〝存在を確認されていない幻の物も〟あるという。
「実在しているのか分からないのに、幻の物としてシリーズの中に入っているのも、不思議な感じがするのですが」
話を聞き届けたところで、雪弥は素直な疑問を口にした。