「しかし、彼女がはじめに関わっていたのは『子』の骨だ。それなのに『母鬼』になりかけているという事は、原因は別の何かが関わって引き起こされている」

 骨以外の物、と雪弥は口の中で繰り返して思案する。

「そうすると、やっぱり『着物』ですかね」

 思い当たる事と言えば、彼が先に口にしていたそのキーワードだろう。

 不思議な感じのする着物だった。まるで幽霊みたいだという印象を覚えたのは、ナナミが私服の上から羽織っていたそれの印象が強かったせいもあるのかもしれない。

「まぁ、君にとっては、奇天烈な話だとは思うがね」

 思い返していると、ふと宮橋が言う声が聞こえた。目を向けてみれば、肩をちょっと竦めてみせている。

「宮橋さんがあるというのなら、あるんじゃないですかね」

 雪弥はそう相槌を打つと、「それで?」と彼に続けた。

「先程言った『柄に覚えがある』というのは?」

 すると宮橋が、少し不思議がるような目を寄越してきた。じっと見つめられて、雪弥は小首を傾げてしまう。