「まず、『言葉によってもたらされる情報』。そして『視覚的な情報』、『物』、『出来事』。だから、もし〝奇妙な事〟の被害を受けたくない場合は、どれも極力避けるに越した事はない」

 そこで宮橋が、車の走行を安定させて横目に見てきた。

 雪弥は、しばし考える。

「都市伝説とか、コックリさんとかいったものですかね?」

 そういえば幼い頃、妹の緋菜が怖がっていた事を思い出す。中学生になった頃にもらった手紙で、学校で流行っているのがちょっと嫌なのだと泣き事も書いていた。

 そう思い返していた時、雪弥の耳に宮橋の声が入った。

「まぁそういうものだ。――もしくは〝人を呪う事〟」

 なんだか、後半の呟くような声が、やけに耳についた。

 雪弥は、一瞬、奇妙な感覚を受けて目を向けた。すると宮橋が「それで、だ」と話を変えるように言ってきた。

「大抵、人ならざるモノへと変わってしまうものは、核になっている【物語】に引きずられて起こる」

 物語。

 それは彼の口から、たびたび聞く単語だった。本人が疑問に思う事もなく、全てその物語の主人公と同じストーリーを辿っていくもの、なのだとか。