「例の、ツノがはえた中学生の〝ナナミ〟ですよね?」
鬼化が進んでいる、というのも非現実的な事象だ。けれど雪弥は、それを実際に間の当たりにもしていた。
いまだ、よく分からない事だ。
でも彼が〝そう〟だというのなら、もしかしたらあるのだろう。
雪弥は改めて思いながら、スーツの袖口を整えつつ思考を終える。ソレがなんであるのかを、ただの〝護衛〟で、サポーターである自分が深く理解する必要はない。
「また町中の捜索ですか?」
続けて確認してみると、宮橋がスポーツカーを国道へと進めながら頷いた。
「昨日も言った通り、彼女は遠くへは行けない」
そう答えた宮橋の目が、一瞬、ガラス玉みたいな印象を強めた。
「――もしかしたら、彼女を返してやれないかもしれないな」
ぼそりと、呟かれた言葉。
一人の少女が、無事でなくなる想像が脳裏を過ぎった。そんなの嫌だな……そう思ったら、雪弥は「どうして」という質問を口にする事ができなくなってしまった。
鬼化が進んでいる、というのも非現実的な事象だ。けれど雪弥は、それを実際に間の当たりにもしていた。
いまだ、よく分からない事だ。
でも彼が〝そう〟だというのなら、もしかしたらあるのだろう。
雪弥は改めて思いながら、スーツの袖口を整えつつ思考を終える。ソレがなんであるのかを、ただの〝護衛〟で、サポーターである自分が深く理解する必要はない。
「また町中の捜索ですか?」
続けて確認してみると、宮橋がスポーツカーを国道へと進めながら頷いた。
「昨日も言った通り、彼女は遠くへは行けない」
そう答えた宮橋の目が、一瞬、ガラス玉みたいな印象を強めた。
「――もしかしたら、彼女を返してやれないかもしれないな」
ぼそりと、呟かれた言葉。
一人の少女が、無事でなくなる想像が脳裏を過ぎった。そんなの嫌だな……そう思ったら、雪弥は「どうして」という質問を口にする事ができなくなってしまった。