首を伸ばしていた刑事達と目が合った。気になって様子を遠目に伺っていたらしい彼らが、途端にパッと視線をそらして業務をしている風に動き出す。その向こうで何故か、「三鬼先輩こらえてくださいッ」「ほらっ、仕事行きましょう!」と引っ張られている中年男の姿もあった。

 もし、自分がそこにいる全員を、始末するとしたのなら。

 雪弥が淡々と思案し始めたところで、不意に向かいのソファにいた宮橋が「やめだ」と言って片手を振った。目を戻してみると、彼の秀麗な眉はすっかり寄ってしまっている。

「もういい、『視えた』」
「はぁ。あの、一体何が……?」
「なんとも鮮やかなプロ技だろうね、気分が悪い」

 どうやら自分は、また機嫌を損ねてしまったらしい。でも、まだ何も話していないけどなぁ、すぐに答えなかったのが悪かったんだろうかと雪弥は困ってしまう。

「馬鹿三鬼をヤるのに、たったの一秒もかからない、か。全くたいしたもんだよ」