「君がぼんやりしながら、スイーツまで全制覇したのが信じられん」
ふと、そんな声が聞こえて、雪弥は回想を終える。
見つめ返してみると、向かい側には食後のホットコーヒーを飲んでいる宮橋がいた。明るいブラウンの瞳は、窓から差し込む明かりでガラス玉みたいに見えた。
上品なコロンの香りがする。身支度を整えていた際、君もどうだ、と差し向けられた整髪剤からも、いい匂いがしていたのを思い出す。
ああやって見ていたら、ちゃんと大人なんだなぁと思ったものだ。
雪弥は、しばし黒いコンタクトをした目で宮橋を見つめ返していた。それから、ようやく感想が頭の中を去ったところで、問い掛けられた内容を考える。
「はぁ。すみません。あまりこういう店には入った事がないので、とりあえず、全部味見してみようと思いまして」
「『とりあえず』でコンプリートしようとする奴は、初めて見たぞ」
コーヒーの入った紙コップを置き、宮橋がやや呆れたように後ろへ背をもたれる。
ふと、そんな声が聞こえて、雪弥は回想を終える。
見つめ返してみると、向かい側には食後のホットコーヒーを飲んでいる宮橋がいた。明るいブラウンの瞳は、窓から差し込む明かりでガラス玉みたいに見えた。
上品なコロンの香りがする。身支度を整えていた際、君もどうだ、と差し向けられた整髪剤からも、いい匂いがしていたのを思い出す。
ああやって見ていたら、ちゃんと大人なんだなぁと思ったものだ。
雪弥は、しばし黒いコンタクトをした目で宮橋を見つめ返していた。それから、ようやく感想が頭の中を去ったところで、問い掛けられた内容を考える。
「はぁ。すみません。あまりこういう店には入った事がないので、とりあえず、全部味見してみようと思いまして」
「『とりあえず』でコンプリートしようとする奴は、初めて見たぞ」
コーヒーの入った紙コップを置き、宮橋がやや呆れたように後ろへ背をもたれる。