「先に言っておくが、ベッドは貸さんぞ。僕が使う」
「はぁ。別に僕はソファでいいですよ、それで十分です」

 ふうん、と、宮橋か興味もなさそうに答えてビールに口を付けた。飲む様子はざっくりとしているのに、それでも品があるように見えてしまう。

 雪弥は暇を持て余したように、ビールを少しずつ飲みながらその様子をぼんやり眺めていた。綺麗な人だなぁ、と、不思議とそんな感想しか浮かばない人を見て思う。

「外国の血が混じっていたりします?」

 なんとなく、気付けばそう尋ねていた。

 回答を待っていると、宮橋が既に半分くらいは飲んだらしい缶ビールを、ガラステーブルに置いた。そこを見つめる眼差しは、一体何を思い考えているのか分からない。

「――こう見えて、父も祖父も生粋の日本人だよ」

 そう答えた彼が、ソファにゆったりと背を預けた。長い足がどかっと楽に組まれて、ガラス玉みたいな瞳がこちらを見た。

「それが、君の目か」

 唐突に、今更のようにしてそう感想された。雪弥は「そうですね」と答えながら、缶ビールを置く。じっと見つめてくる彼を不思議に思って、戸惑い気味に言葉を続けた。