雪弥はこちらに来るまでの事を思い返しながら、特殊機関の存在を明かさないよう言葉を選びながら経緯を語った。駅のキップもタクシーも全て手配済みで、あっという間にここまで連れて来られたのだ。

「つまり、結局のところ君はココに寄越されたわけだろう」

 話を聞き終えた宮橋が、一向に仲良くしたくないオーラ全開のまま『結果』を口にする。結果だけを見れば寄越された事は確かであるし、雪弥はうーんと首を傾げつつ答えた。

「はぁ。まぁ、そうなりますね……。話を聞いて来いと言われたんですけど、そもそも僕は寄越された確固たる理由とかもよく全く分からないでいるというか」

 臨時のパートナーを務め、それでいて護衛も担う。でも、そもそも相談も何も初対面の彼に聞くような話もないんだけどな、と雪弥が実に不思議に思って首を捻る。

 ややあって宮橋が、実に面倒臭いと言わんばかりの顰め面で前髪をかき上げた。

「ったく、僕を巻き込まないで欲しいんだけどなぁ」
「はぁ、すみません?」

 唐突に命令されて、こちらも何がなんだか分からないのだ。