「なんだかなぁ……」

 歩み寄りながら思わず呟いた。つい先程帰宅した後、先に宮橋が風呂に入ったあとで、シャワーまで借りてしまったうえ、適当にと楽なTシャツとズボンまで寄越されていた。

 宮橋がわざわざ開口一番に指摘してきた通り、シャツに関してはかなりぶかぶかだ。しかし雪弥としては、宮橋の体格を考えても合わないサイズなのではないか、とも思うのだ。

「そもそも寄越された時から気になっていたんですけど、正面にデカデカと『就寝二十二時もう寝たい』って文面がプリントされているのは……?」
「その辺にあった店の前を通った時、面白いから買った」
「…………それ、目に留まって適当に手に取ったとかいうやつですか……」
「その通りだ。僕は時間の無駄が嫌いだ」

 宮橋が、今度は何も持っていない反対側の手を、びしっと向けてそう言った。雪弥は「どうりでサイズ感が」と口にして、黙ってしまう。

 やっぱり、この人がよく分からないな……。