N県警に近い高層ビル群のド真ん中に、宮橋が住んでいるというマンションはあった。タワー型で、ワンフロア一世帯。その最上階に彼の部屋があった。
あまり物には執着も関心もないのか、全体的にスペースが余っているような印象で、広いリビングもさっぱりしていた。一面のガラス窓からは、都会の夜景がよく見える。
ガラス窓から一番近くに置かれた家具は、クッション性よりデザイン性、といったお洒落なブランドソファだった。ガラステーブルを挟んだ向かい側にも、ゆったりとした距離感で同じものが置かれてある。
そこに腰掛けていた宮橋が、パチンっと携帯電話をたたんで整髪剤も解けた髪を揺らし、こちらを見た。ガラス玉みたいなブラウンの目が、じっと見つめてくる。
「君、サイズが足りてないんじゃないか?」
馬鹿にしているのか、それともただ単に指摘しただけなのか。言いながら携帯電話を持った手で身長を示されて、雪弥は「はぁ」と複雑な心境を表情に滲ませた。
あまり物には執着も関心もないのか、全体的にスペースが余っているような印象で、広いリビングもさっぱりしていた。一面のガラス窓からは、都会の夜景がよく見える。
ガラス窓から一番近くに置かれた家具は、クッション性よりデザイン性、といったお洒落なブランドソファだった。ガラステーブルを挟んだ向かい側にも、ゆったりとした距離感で同じものが置かれてある。
そこに腰掛けていた宮橋が、パチンっと携帯電話をたたんで整髪剤も解けた髪を揺らし、こちらを見た。ガラス玉みたいなブラウンの目が、じっと見つめてくる。
「君、サイズが足りてないんじゃないか?」
馬鹿にしているのか、それともただ単に指摘しただけなのか。言いながら携帯電話を持った手で身長を示されて、雪弥は「はぁ」と複雑な心境を表情に滲ませた。