どうやら目ではない部分で人間を識別しているらしい。もっとも効率的実用性からいくと、熱探知機かな、と雪弥は黒くした瞳をゆらりとブルーに鈍く光らせて冷静に思った。

 生きている気配が、ない。

 なんだ、動いているだけの『ただの武器』じゃないか――。

 その獲物の前に実際に立った途端、心が早急に冷めていくのを感じた。どうしてか、期待後の失望感に似た感覚が、胸の内側に広がる。

「ただの人形に用はないよ」

 知らず、冷やかな呟きが自分の唇からこぼれていた。

 直後、攻撃が打ち出されるのを察知した方の武器を、伸ばした自身の爪で切断した。銃撃を開始した銃口を抉り取り、床まで伸びている機械の蠢きごと両足を横に一刀両断する。

 大男は、やはり痛がりもせず壊された反応も見せなかった。ギギギと鈍くなった動きで、引き続き攻撃態勢に入ろうとする。

「――ああ、そうだ。お前、中身は脆かったりするのかな」

 斬った感触から察して、雪弥は冷酷な目で口許を僅かに上げる。。