『なんで応答一発目で罵声受けなきゃなんねぇんだよ!? ぶちのめすぞ宮橋ッ』
 雪弥は煩い破壊音と攻撃音の中、その声を拾って、日中に会った仏頂面の中年刑事を思い出した。

 ああ、なんだ、あの人か――でも一体なんの用件なんだろう?

 もう勤務外であろう夜の時間を思いつつ、雪弥はだんだん近づいてくる銃撃のうちの銃弾の一つを、持っている銃で弾き返した。

 まだ指示は受けていない。日中の戦闘も止められたばかりだ。

 どうしたもんかと『護衛対象の先輩刑事』である宮橋に目を向けてみると、片耳を押さえて電話口に向かって怒鳴り返していた。

「その前に僕がお前をぶちのめしてビルの上から逆さにつるす!」
『一呼吸で言うなよ……、なんだよマジで怒ってんのか? そういう時のお前って、マジでやっちまうから怖いんだよな……』

 理不尽にも一方的に怒鳴られた三鬼が、なんだか電話越しで戸惑い気味にたじたじの声になる。