「何かと騒がしい事に巻き込まれる男らしくてな。相棒をあてても長く続かないらしい。だが宮橋財閥の二男であるし、そこの課で『とくに彼に関しては』単独行動は好まれていない」
「? 個人的な事情は分かりませんけど、いやだから僕、別に聞く話もない――て、うわっ」

 首を傾げた直後、雪弥は彼の大きな手に後ろ襟を掴まれた。そのまま持ち上げられ、ツカツカとナンバー1に自動扉まで運ばれてしまう。

「えっ、ちょ、待ってくださいよッ。そもそも任務期限は?」
「そんなの、私が知るわけがないだろ」
「は?」

 自動扉を出て、廊下で雪弥をポイッと放り投げてナンバー1が堂々と言う。

「臨時のパートナーとしての、向こうの仕事が片付いたタイミング。それでいてお前が、話を聞いて納得した頃合いで『任務終了』だ」
「それ、かなりざっくりすぎません?」
「相談事があるなら奴に任せろと、蒼慶に言われて私の方でも頼んである。とりあえず、それまでこっちのエージェント業も休みだし、蒼慶から急かす連絡がくる事もないとは言っておく」

 以上、とつらつら一方的にナンバー1が告げて、自動扉が閉まった。