「あのバカ連射はどうにかならんのかッ」

 宮橋が細い廊下の壁で身を庇いながら、忌々しげな声で低く言った。

「一体あの身体を生かすために『なんの特別な一族の血』を利用したんだか――ったく、怪奇と科学を融合とか(ろく)な事をしないな!」

 一つの人命をなんだと思ってやがる。

 ギリィッ、と宮橋の美麗な顔が珍しく憤りに歪んだ時、不意にスーツの胸ポケットから、場違いな平和的着信音が鳴り響き出した。

 一体なんの音楽だろう、と雪弥がチラリと横目を向ける。

 宮橋は、こんな時に誰だと言わんばかりの表情で携帯電話を取り出した。その着信画面を確認した途端、こめかみにピキリと青筋が浮かんだ。

 自分に正直な彼は、文句を言ってくれるという態度で即座に通話ボタンを押すと、銃撃音が鳴りやまない中で素早く耳にあてた。

「こんな時に電話してくるな馬鹿三鬼め! 非常に迷惑だ馬鹿タレ!」

 一瞬の間があった。

 直後、電話の向こうから大きな声が上がった。