一緒になって腰を下ろしていた雪弥は、目を向けられて困ったような表情を浮かべる。

「まぁ、僕も似たような感想が浮かびました。心臓は止まっているけど、肉体の方は生きてもいるみたいですし――」
「そんな冷静な状況分析は求めてないぞッ。ここまでくると、その辺の怪異の方がまだ可愛いわ!」

 宮橋が言いながら、怒り心頭といった様子で床をバンバン叩く。その際に、馬鹿力で脆くなっていた床のヒビが増していた。

 いきなりの攻撃は少々ショックもあったのかもしれない。雪弥とて混乱しているし、改めて答えますからと伝えるように、ひとまず降参のポーズで手を上げて見せた。

 すると宮橋が一旦静かになった。ぶすっと顰め面で見つめられた雪弥は、「えっと」とぎこちなく声を出す。

「実は以前、アレと似たような形態変形を見た事があります」

 雪弥は先日、高等学校に潜入した一件を思い出した。薬による肉体と精神の強制変化、肉体を弄られていた殺人兵――。