思い立って口にした雪弥の言葉を、ナンバー1は無視した。話をそらすように金の大きな腕時計を見やると、「まぁいい」と言って葉巻を灰皿に置いて立ち上がる。

 そばまで来たかと思うと、唐突に彼がスポンッと首から何かを引っ掛けてきた。

「なんですか、これ」

 雪弥は、首からさげられてしまったそれを見下ろした。

 そこには県警のマークが入っており、雑な感じで『新人研修』と大きく印字されていた。試験的特別ブログラム、という小さな表記が下側に入ってもいる。

「許可証だ。ああ、服はそのままでいいぞ。『刑事』だからな」
「は……?」

 身を起こしたナンバー1が、その場に立ったまま葉巻を手に取って口で吹かす。雪弥が身に馴染んだ仕草のごとく手で煙を払う中、唐突に彼が命令を下してきた。

「相棒不在中の、とある刑事の臨時のパートナーとして、護衛がてら話を聞いてこい」
「話を聞く……? というか護衛って?」