着地後、雪弥は宮橋の先導で、例のビルを目指して走った。酔っ払い歩いていた男達が、上から降ってきたのを見て「飲み過ぎたかも」と目を擦っているのも気付かなかった。

 なんだなんだと、たびたび目を向けて行く通行人の間を二人は駆ける。

「まだビルの近くにいてくれるといいんですけどね……」
「いると思う。もしかしたら、これは――」

 言い掛けた宮橋が、考えたくない嫌な可能性でも消すかのように頭を振った。

 やがてビル近くまで来た。いるとしたら、この辺からは要注意だろう。そう思って目でも捜しながら走っていると、ふと、消灯した商店通りに浮かび上がる一点の色が見えた。

 それは、例のナナミという中学三年生の少女だった。

 やはり僅かに発光でもしているみたいに、薄暗い中だと特に目を引いた。雪弥が先に気付いてすぐ、宮橋も察知してその姿を確認した。

「――雪弥君が一番に見付けるところも、なんだかな」

 そちらへと一緒に向かいながら、宮橋が引き続き思案気な呟きをこぼした。