都内のとある貸し会議室には男が十数名、女が三名ほど向かい合わせの席で並んでいる。
一番奥には佐東が座り、全員揃ったのを確認すると口を開く。

「ようやく守護代達が朝日奈助教に接触したようだ」

数名を除き皆ざわざわと顔を見合わせ言葉を交わす。
それを見ながら、

「姫は檻に入れられ、奴らの言いなりになっている。
姫の力がその者達に利用されていることすら、ご自身で気付いておられないのだ。
姫を我々の手で助け出し、奴らの洗脳から解き放たねばならない。
そうだろう、諸君!」

力強い佐東の声に、各々がそうだ、その通りだと声を上げた。
それを内心満足に思いながらも表情には出さずに佐東は続ける。

「決行の日は間近。
皆、奴らに悟られぬように。

そして松井」

はい、と松井大輝が幼そうな表情など一切感じさせない顔ではっきりと声を出した。

「お前には期待している。
いざという時は、わかっているな?」

「もちろんです。
僕が彼女を自由へと導いて見せます」

言い切った松井に佐東は頷く。

「皆、よろしく頼む。
我らが闇夜姫の為に」