「シェリーちゃんを散歩させる時は、いつも二人体制で車に乗せて、目的地を少し歩かせる感じなんです」
「待て待て待て。どこでどうなったら、お前と俺の、男二人で遊びに行く事になるんだ?」
「シェリーちゃん、今は萬狩さんの愛犬でしょう? だから、僕が丁重にお供させて頂きますッ」
「丁重に断るという選択肢もあると思うんだが」
「え、今週は都合が悪いんですか? 天気予報では晴れるらしいですよ?」
途端に、仲西が悲しそうな顔をした。彼の手が止まった拍子に、シェリーが不思議そうにこちらを見てくる。
「……そいつは、散歩が好きなのか?」
「犬はみんな散歩が大好きですよ。僕は今、猛烈に砂浜を歩きたい気分です!」
仲西青年は、素早く元気な挙手をしてそう断言した。
つまり、仲西青年が海に遊びに行きたいというだけの話なのだ。そう気付いて、萬狩は眩暈を覚えた。
「確かに泳ぐには良い暑さかもしれないが、それなら若い友人とでもいけばいいだろうに」
「近い距離に、すぐに遊べる友人はいません! みんな結婚して子供がいて、独り身は僕ぐらいのものです!」
仲西は、文章にすると侘しいともとれる内容を、笑顔で「あはははと」陽気にさらりと即答してきた。
「結婚? そういえば、お前は一体幾つなんだ?」
「僕は二十九歳になりますッ」
「そうか、二十九……ちょっと待て。二十九歳にしては落ち着きが全くないな? お前、彼女もいないのか」
萬狩は、まさか仲西青年が自分の息子達より年上だとは思っていなかったので、少し驚いてしまった。そもそも、萬狩がそのぐらいの歳には次男が誕生していたのだ。
こいつは童顔のうえ、精神年齢も若いのだろうか?
萬狩が思案していると、仲西が数秒も考えず「大学時代以来、恋人はいません!」と朗らかに答えた。
「待て待て待て。どこでどうなったら、お前と俺の、男二人で遊びに行く事になるんだ?」
「シェリーちゃん、今は萬狩さんの愛犬でしょう? だから、僕が丁重にお供させて頂きますッ」
「丁重に断るという選択肢もあると思うんだが」
「え、今週は都合が悪いんですか? 天気予報では晴れるらしいですよ?」
途端に、仲西が悲しそうな顔をした。彼の手が止まった拍子に、シェリーが不思議そうにこちらを見てくる。
「……そいつは、散歩が好きなのか?」
「犬はみんな散歩が大好きですよ。僕は今、猛烈に砂浜を歩きたい気分です!」
仲西青年は、素早く元気な挙手をしてそう断言した。
つまり、仲西青年が海に遊びに行きたいというだけの話なのだ。そう気付いて、萬狩は眩暈を覚えた。
「確かに泳ぐには良い暑さかもしれないが、それなら若い友人とでもいけばいいだろうに」
「近い距離に、すぐに遊べる友人はいません! みんな結婚して子供がいて、独り身は僕ぐらいのものです!」
仲西は、文章にすると侘しいともとれる内容を、笑顔で「あはははと」陽気にさらりと即答してきた。
「結婚? そういえば、お前は一体幾つなんだ?」
「僕は二十九歳になりますッ」
「そうか、二十九……ちょっと待て。二十九歳にしては落ち着きが全くないな? お前、彼女もいないのか」
萬狩は、まさか仲西青年が自分の息子達より年上だとは思っていなかったので、少し驚いてしまった。そもそも、萬狩がそのぐらいの歳には次男が誕生していたのだ。
こいつは童顔のうえ、精神年齢も若いのだろうか?
萬狩が思案していると、仲西が数秒も考えず「大学時代以来、恋人はいません!」と朗らかに答えた。