「断る。何が悲しくて男二人でケーキを食べなきゃいけないんだ」
「鍋をやるので、古賀さんカップルも一緒ですよ。それに、翔也君達も、二十四日なら日帰りで来られるって言ってました!」
「はッ? お前、あいつらも招待したのか!?」

 いつの間にそんな事になっているんだ、と萬狩が問えば、仲西青年は「誘ってみたら、行くって返事があったんですよ、良かったですね」と陽気に答えた。

 隣にいた仲村渠老人が呑気に笑って、「先週、メールでそれが決定しました」と参加メンバーについて説明し始めた。

 翔也と和也の他にも、弁護士の酒井夫婦が招待されているらしい。確かに、先週「勝手にしてくれ」と言ったのは萬狩だが、そんな事になるとは思っていなかっただけに、彼は強い眩暈を覚えた。

 クリスマス・イブに行われるという、奇妙な『焼き芋パーティー』に、よくそれだけの人間が集まったな、と呆れてしまう。

「クリスマス・イブですから、仲西君がケーキも用意してくれるそうです。仲村渠さんと酒井さんは早めに退出しますが、その、大人数なので、鍋も楽しくなるかな、と……」

 古賀が控えめに発言した。

 おい、夕飯に『鍋の会』までやるつもりなのか?

 詰め込み過ぎだろうと萬狩が、思わず言葉を失って古賀に目を向けていると、仲西青年が「実はですね~」と、瞳を輝かせて得意げに言った。

「内間先輩に話したら、得意先からケーキを安く買えるという嬉しい情報を頂きました!」

 久しぶりに聞いた名に、萬狩は、ピアノ教室の若い女性講師を思い出した。そう言えば、彼女は仲西の職場にいる先輩の妻だったな。

 古賀が苦笑を浮かべ、「ぼくが仲西君から聞いた話では」と、当時の予定について補足した。