夜の花火の時間になると、シェリーは、以前と同様の盛り上がりを見せた。
仲村渠老人は懲りもせず、今回は持参物の――どこかに隠していたらしい――鼠花火を続けて投入した。男達はそれぞれの表情で逃げ惑ったが、何故か老犬と少女、に見える女性は楽しそうにしていて、仲村渠老人と同じように器用に逃げ回っていた。
最後は、全員で星を眺めて、鍋パーティーを締めくくる事になった。古賀が別のペンネームで描いている漫画の話になり、仲西が「早速買って読んだんですけど」と、唐突にカミングアウトして古賀を驚かせた。
「えッ、仲西さん、アレを読んだんですか?!」
「うん、読みましたよ。熱い青春物みたいな感じで、楽しく読めました」
「青春? え、どの作品を読んだんですか……?」
「隣のクラスの気真面目な美少年が、戻ってきた幼馴染にからまれて青春を送るやつですよ」
「……濃度は薄い方だけど、あれでも、内容がアレなんですけど……」
まぁ、いいか。そう古賀は、どこか安心したように呟いた。翔也から同性愛ものであると教えられていた萬狩は、それを微妙な心境で聞いていた。
シェリーは前回と同じように、狭いビニールシートに並んで横たわった萬狩と仲西の間に寝そべっていた。常に誰かが彼女を気に掛けて、声を掛けたり、撫でたりする。
流れ星を二つほど見送った後、仲西が、カメラを取り出して「撮っていいですか」と珍しく萬狩に聞いた。
恐らく、初対面である西野に、それなりに気を配ったものだろうと分かって、萬狩は「俺は構わないが」と答え、古賀と彼女の方へ首を向けた。
古賀が「大丈夫ですよ」とぎこちなく笑って、西野は「素敵ですねッ」と手を叩いて笑顔を見せた。並んで横たわる彼らの隣で、仲村渠が「私も『バッチコイ』ですよ」と、どこから拾ったのか、年齢に合わない台詞を口にした。
仲村渠老人は懲りもせず、今回は持参物の――どこかに隠していたらしい――鼠花火を続けて投入した。男達はそれぞれの表情で逃げ惑ったが、何故か老犬と少女、に見える女性は楽しそうにしていて、仲村渠老人と同じように器用に逃げ回っていた。
最後は、全員で星を眺めて、鍋パーティーを締めくくる事になった。古賀が別のペンネームで描いている漫画の話になり、仲西が「早速買って読んだんですけど」と、唐突にカミングアウトして古賀を驚かせた。
「えッ、仲西さん、アレを読んだんですか?!」
「うん、読みましたよ。熱い青春物みたいな感じで、楽しく読めました」
「青春? え、どの作品を読んだんですか……?」
「隣のクラスの気真面目な美少年が、戻ってきた幼馴染にからまれて青春を送るやつですよ」
「……濃度は薄い方だけど、あれでも、内容がアレなんですけど……」
まぁ、いいか。そう古賀は、どこか安心したように呟いた。翔也から同性愛ものであると教えられていた萬狩は、それを微妙な心境で聞いていた。
シェリーは前回と同じように、狭いビニールシートに並んで横たわった萬狩と仲西の間に寝そべっていた。常に誰かが彼女を気に掛けて、声を掛けたり、撫でたりする。
流れ星を二つほど見送った後、仲西が、カメラを取り出して「撮っていいですか」と珍しく萬狩に聞いた。
恐らく、初対面である西野に、それなりに気を配ったものだろうと分かって、萬狩は「俺は構わないが」と答え、古賀と彼女の方へ首を向けた。
古賀が「大丈夫ですよ」とぎこちなく笑って、西野は「素敵ですねッ」と手を叩いて笑顔を見せた。並んで横たわる彼らの隣で、仲村渠が「私も『バッチコイ』ですよ」と、どこから拾ったのか、年齢に合わない台詞を口にした。