四つの椅子が男四人で埋まる光景は、萬狩には、なんだか見慣れないものだった。

 少し寝たから胃が落ち着いた、と菓子を口にする若者組みの胃袋事情も信じられなかった。仲村渠も、一体どこから持ってきたのか、タッパーに収まった切りたくあんの漬物を妻楊枝で刺してつまみ出した。

「萬狩さん、トランプゲームしましょうよ」
「……なんでトランプなんだ」
「あれ、どうして項垂れてるんですか?」
「仲西君、多分食べ過ぎのせいだと思うよ。気にせずさくっとやっちゃいましょう」

 仲西の一言を仲村渠老人が推し、唐突にトランプが始まった。

 リビングで珈琲と菓子、切りたくさんの漬物をつまみながら、全員が共通してルールを把握しているババ抜き大会が行われた。

 圧倒的に古賀が負け続けたのだが、原因は、ババを取った時の反応が露骨過ぎる点にあった。つまり、この男は駆け引きが全く出来ないのである。

 これでは面白味がないからと、今度は、仲村渠老人の意見でサイコロゲームが開催された。萬狩は「俺はもういい」と断って煙草休憩をしていたのだが、気付いた時には床に道具が広げられていて、彼の席まで用意されていた。

 サイコロゲームは、圧倒的に仲村渠老人が強運で勝り、それに古賀が続いた。萬狩は負けず嫌いだったから、結局は途中の煙草タイムも忘れて、仲西と最下位を争った。


 西日が落ち着いてきた頃、懐かしいという理由で、青年二人組がバレーを提案した。

 歳が近いせいか、古賀は、仲西とは上手く友人関係を築けているようだ。仲西に「やろうよ」と誘われれば、楽しげに顔をほころばせて「やりましょう」と答える。

 萬狩は乗り気ではなかったが、半ば言いくるめられた形で渋々参加した。