知人友人を招待する機会もなかった萬狩宅の駐車場には、主である萬狩のセダン、仲村渠老人が乗ってきたプリウス、仲西青年の年季を感じさせる黒の原動付バイク、その隣に古賀の小奇麗で丸いシルエットが特徴の、黄色い軽自動車が並んだ。
「こ、このたびはお招き頂き、どうも、その、ありがとうございます」
古賀は、到着するなり大きな茶袋を二つ提げて、慌てたように小走りでやって来た。丸い顔には、既に大量の汗をかいている。
半袖のパーカーを着用していた古賀は、夏向けの格好だというのに、どうしてかやたらと内側が膨れて暑苦しく見えた。白の簡易シャツの袖を捲り、スポーツウェアのズボンに島草履を履いた、ラフ過ぎる仲西とは大違いで、きちんとファッションはしてある。
「すみません。お店が結構混んでいて、日曜朝市がある事をうっかり、わ、忘れてしまっていたというか……」
「そんな堅苦しくなくて大丈夫ですよ。気楽にいきましょうよ、古賀さん」
仲西がそう言い、目尻を下げるように笑った。
まるで家主のような対応に、萬狩が呆れた眼差しを向けると、仲西はそれに気付く様子もなく、古賀が持っていた袋の中を覗き込んだ。
「チクワと沖縄そば、お菓子に……あ、イナリまである!」
途端に、仲西が瞳を輝かせた。
「ついでにゲット出来ればいいなとは思っていたけど、わざわざ頼んでしまって、すみませんでした、古賀さん」
「いえ、他の買い物のついでだったので問題ないです。沖縄イナリ、ぼくも好きなんですよ」
「うん、僕も大好きなんでよく食べるんですけど。萬狩さんの事だから、食べた事がないだろうなと思って」
萬狩は、聞き捨てならないなと怪訝な顔を仲西に向けた。
「こ、このたびはお招き頂き、どうも、その、ありがとうございます」
古賀は、到着するなり大きな茶袋を二つ提げて、慌てたように小走りでやって来た。丸い顔には、既に大量の汗をかいている。
半袖のパーカーを着用していた古賀は、夏向けの格好だというのに、どうしてかやたらと内側が膨れて暑苦しく見えた。白の簡易シャツの袖を捲り、スポーツウェアのズボンに島草履を履いた、ラフ過ぎる仲西とは大違いで、きちんとファッションはしてある。
「すみません。お店が結構混んでいて、日曜朝市がある事をうっかり、わ、忘れてしまっていたというか……」
「そんな堅苦しくなくて大丈夫ですよ。気楽にいきましょうよ、古賀さん」
仲西がそう言い、目尻を下げるように笑った。
まるで家主のような対応に、萬狩が呆れた眼差しを向けると、仲西はそれに気付く様子もなく、古賀が持っていた袋の中を覗き込んだ。
「チクワと沖縄そば、お菓子に……あ、イナリまである!」
途端に、仲西が瞳を輝かせた。
「ついでにゲット出来ればいいなとは思っていたけど、わざわざ頼んでしまって、すみませんでした、古賀さん」
「いえ、他の買い物のついでだったので問題ないです。沖縄イナリ、ぼくも好きなんですよ」
「うん、僕も大好きなんでよく食べるんですけど。萬狩さんの事だから、食べた事がないだろうなと思って」
萬狩は、聞き捨てならないなと怪訝な顔を仲西に向けた。