「……普通、初対面の人間を、プライベートな用事に誘うか?」
「共にパフェを食べた仲です。あの人、なんか道路に放り出された小動物みたいな感じなんですけど、メールでは凄くテンションが高くてギャップも面白い!」

 おい、もうメールをする仲なのか。

 もしかしたらこれは、世代の違いなのかもしれないと、萬狩はそう自分を納得させる事にした。多分、深く考えたらこっちが知恵熱を出してしまうかもしれない。

 仲西青年は、「木曜日までには回復させておきますんで、ご安心ください!」と胸を叩いて笑った。現在は九月に入っており、萬狩が「ピアノ教室は八月までだったから必要ないぞ」と言っても、木曜日に来るという主張は覆さなかった。

 仲西青年の中では、週に二回の訪問が日課になってしまったのだろう。

 萬狩は呆れた眼差しを寄越したが、結局上手くいかず、意気込む仲西が可笑しくて、つい口角に笑みを浮かべて「頼む」と答えていた。