日が沈むまで続いたパーティーは過去の思い出となり、皆が帰った店内はとても静かだった。

 「お疲れさん」

 「お疲れ様です、シュベルトさん。今日一日ありがとうございました」

 彼は準備から片づけまで、ずっと手伝ってくれていた。自分の店だから当然だと言われたけれど、私のわがままで一日付き合わせてしまった。

 「お嬢さんのおかげで久しぶりに店も明るくなって楽しかったよ。ありがとな」

 「そんな、とんでもないです。ここへ来てシュベルトさんには助けられっぱなしで、本当にありがとうございます!」

 初めて会った時から優しく声をかけてくれて、不安がっていた私を見守ってくれていた。今日も最後までやり遂げられたのは彼がいたからだ。

 「ま、お嬢さんのケーキを看板メニューにしてほしいとせがまれた時は、どうしようかと思ったけどな」

 「それは、すみません」

 こんな風に笑い合えるのもあと少し。
 窓から見える空を見上げると、町は暗くなっていた。

 「もうすぐ満月か。特にクラネスは寂しがるだろうな」

 シュベルトさんが呟いた。
 直接寂しいと言われたことはないけれど、そう思ってくれているのだろうか。

 「お、噂をすればだ。お嬢さん、迎えが来てるぞ」

 「え!?」

 そう言ってシュベルトさんに持っていた箒を取り上げられた。

 「今日は疲れてるだろうから早く休みなさい」

 一瞬驚いたけれど、これは早く帰れと言われている。

 「はい、ありがとうございました!」

 頭を下げると急いで外に出た。