暗い路地に逃げ込み、警察を上手く撒いた。
何をやらかして追われているのか知らないけれど殺人なら私は殺されるか、人質に取られる可能性がある。
「いやぁ、なんとかなったな」
不安がっている私の前で彼は楽しそうに笑っていた。
走ってる時にも思ったけれど、この人は何者なんだろう。
まず着ている服が高価なものであるのは間違いない。白シャツに茶色のベスト。鏤められた装飾品は、大人しいけれど上品に光を纏っている。その上に羽織っているジャケットも先程手が触れた時、さらりとした質感が気持ちよかった。
そして普通にかっこいい。第一印象は最悪だけれど、もっと別の出会い方をしていれば持つ印象も変わっていたかもしれない。