ーーーーー後悔先に立たず。
リュカは、ナディアをローズのお茶会に行かせたことを激しく後悔していた。
悪い予感は的中し、お茶会の日以降のナディアの変りぶりに酷く落ち込んだ。
お茶会の日、迎えに行ってくれと送り出した御者の口ぶりからしても何かあったことは明白だった。
笑わないのだ。
正確には、笑ってはいるが表面上だけで、空元気とでもいうのか、出会った頃の心を開いていないナディアに戻ってしまったようだった。
いや、それよりも酷い。あれから数回逢瀬を重ねているものの、リュカの前ではいつもと同じように取り繕う姿が痛々しくもあった。
お茶会はどうだったと聞いても「楽しかったです」としか言わないし、何かあったのかと聞いても「何もありませんでした」と頑なに話そうとしない。
どことなく近寄りがたい雰囲気を醸し出し拒絶するナディアに、リュカはいつものように甘い言葉を囁いたり口づけを交わしたりするのを憚られていた。
おかげで、リュカのナディア不足が続いている。
あの元凶でもあるジラール公爵の小娘を問い詰めたところで口を割るとは思えないし、どうしたものか、とリュカは考えあぐねていた。
「ナディアちゃんが口を割らないなら、友達とかに聞くしかないんじゃないの?」
癪だったが、ライアンの助言を受け、思いついた人物と言えばアリスという孤児院の友人だった。
ナディアと約束をしている今日、迎えに行く時間に孤児院へと足を運んだリュカは、思いもよらない人物を前に立ち尽くしてしまった。
リュカに気づいたその人は、一瞬驚いた顔をしたものの飄々とこちらへ歩いて来て笑顔で「こんにちは」と挨拶をしてきた。
「あれ、どうしてこちらに?ナディアから今日は公爵さまと出かけるから孤児院には来れないって聞いてますけど」
ノアと会うのは、口論になった時以来だった。なぜ、ここに、という言葉をなんとか飲みこむ。
「アリスと話がしたいのだが…」
「今呼んできますね」
ノアは、人のいい笑顔を浮かべて孤児院の建物へと姿を消した。
リュカは、ナディアをローズのお茶会に行かせたことを激しく後悔していた。
悪い予感は的中し、お茶会の日以降のナディアの変りぶりに酷く落ち込んだ。
お茶会の日、迎えに行ってくれと送り出した御者の口ぶりからしても何かあったことは明白だった。
笑わないのだ。
正確には、笑ってはいるが表面上だけで、空元気とでもいうのか、出会った頃の心を開いていないナディアに戻ってしまったようだった。
いや、それよりも酷い。あれから数回逢瀬を重ねているものの、リュカの前ではいつもと同じように取り繕う姿が痛々しくもあった。
お茶会はどうだったと聞いても「楽しかったです」としか言わないし、何かあったのかと聞いても「何もありませんでした」と頑なに話そうとしない。
どことなく近寄りがたい雰囲気を醸し出し拒絶するナディアに、リュカはいつものように甘い言葉を囁いたり口づけを交わしたりするのを憚られていた。
おかげで、リュカのナディア不足が続いている。
あの元凶でもあるジラール公爵の小娘を問い詰めたところで口を割るとは思えないし、どうしたものか、とリュカは考えあぐねていた。
「ナディアちゃんが口を割らないなら、友達とかに聞くしかないんじゃないの?」
癪だったが、ライアンの助言を受け、思いついた人物と言えばアリスという孤児院の友人だった。
ナディアと約束をしている今日、迎えに行く時間に孤児院へと足を運んだリュカは、思いもよらない人物を前に立ち尽くしてしまった。
リュカに気づいたその人は、一瞬驚いた顔をしたものの飄々とこちらへ歩いて来て笑顔で「こんにちは」と挨拶をしてきた。
「あれ、どうしてこちらに?ナディアから今日は公爵さまと出かけるから孤児院には来れないって聞いてますけど」
ノアと会うのは、口論になった時以来だった。なぜ、ここに、という言葉をなんとか飲みこむ。
「アリスと話がしたいのだが…」
「今呼んできますね」
ノアは、人のいい笑顔を浮かべて孤児院の建物へと姿を消した。