今はもう、感じることの無いこの気持ち。
チクリと胸が痛むような、電流が脳内を走るような感覚。
──きっと、それを人は〝一目惚れ〟と呼ぶのだろう。
***
今でも、あの子との出会いを夢に見る。
僕はきっと誰かに自分自身の存在を肯定して欲しかったのだと思う。
自分を認め、信じてくれる人なら誰でも良かったんだ。
それが、たまたまあの子だっただけだ。
バンド仲間と出会い、友達になってから、二ヵ月が経った。
僕は夏休みはダラダラと過ごすつもりだったけど、夏休み前にあの子と会話を交わし、一緒に帰ってしまった。
この時、脳内がレンアイに埋め尽くされていた僕を恨む。
人を傷付けたやつに彼女なんて出来るわけが無い。
そう最初から思っていれば、あの子を傷付ける事も無かったのに。
今なら、僕はあの子とも関わらないし、野球部にも入ることはない。
僕は、このとき、彼女が僕の幼馴染みの彼と一緒に帰り、悩みを共有しているなんて思いもしていなかったから、彼氏気取りで横を歩ける事に嬉しさを感じていた。
本当にバカじゃないのかと今なら鼻で笑っているけど。
そして、彼女とは決まって十字路で別れる。
「じゃあ、ね」
肩までのショートカットの黒髪が夕日に照らされて、艶めいている。
心が熱くなった。
その一言に心を踊らされたのだから、恥ずかしい。
思えば、この時から僕はあの子に惹かれていったのだろう。
もし、やり直せるなら。
僕は、このときにどんな言葉をかけているだろうか。
チクリと胸が痛むような、電流が脳内を走るような感覚。
──きっと、それを人は〝一目惚れ〟と呼ぶのだろう。
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今でも、あの子との出会いを夢に見る。
僕はきっと誰かに自分自身の存在を肯定して欲しかったのだと思う。
自分を認め、信じてくれる人なら誰でも良かったんだ。
それが、たまたまあの子だっただけだ。
バンド仲間と出会い、友達になってから、二ヵ月が経った。
僕は夏休みはダラダラと過ごすつもりだったけど、夏休み前にあの子と会話を交わし、一緒に帰ってしまった。
この時、脳内がレンアイに埋め尽くされていた僕を恨む。
人を傷付けたやつに彼女なんて出来るわけが無い。
そう最初から思っていれば、あの子を傷付ける事も無かったのに。
今なら、僕はあの子とも関わらないし、野球部にも入ることはない。
僕は、このとき、彼女が僕の幼馴染みの彼と一緒に帰り、悩みを共有しているなんて思いもしていなかったから、彼氏気取りで横を歩ける事に嬉しさを感じていた。
本当にバカじゃないのかと今なら鼻で笑っているけど。
そして、彼女とは決まって十字路で別れる。
「じゃあ、ね」
肩までのショートカットの黒髪が夕日に照らされて、艶めいている。
心が熱くなった。
その一言に心を踊らされたのだから、恥ずかしい。
思えば、この時から僕はあの子に惹かれていったのだろう。
もし、やり直せるなら。
僕は、このときにどんな言葉をかけているだろうか。