「では、犯人を捕まえに行きましょう」
「許さないわ、犯人」
「頑張ります……!」
「アツシくんのために」
「ええ、アツシくんのために!」
「はい、アツシくんのために……!」

 私たち三人は、ステージに背中を向ける。
 私たちの存在が推しに認識されることも、爆弾から守ったと知られることも、ないだろう。
 けれど、それでいいのだ。
 推しが存在している、生きて呼吸をしている、その事実こそが――なにより、尊いことなのだから。

「早く終わらせて、打ち上げしましょう」
「甘いものが食べたいわね」
「すべての処理を終わらせたら、明け方でしょうか……まふゆさん、予定は大丈夫ですか?」
「は、はい、大丈夫です……打ち上げ、楽しみですっ!」

 そして、新しい一年が、始まる。