「当然。マスター、バーベキューに必要な薪の量は提示の通り、それから本日中にこなすべき畑仕事はこちらです。本日はチキンがメインディッシュです……ややマンネリですが」
「ありがとう、ナビ。どうかな、アデル……畑仕事と薪拾いどっちを手伝ってくれる?」
「えっ、あの、わたくしが……手伝うのです?」
「うん、よかったら」
この場所でのんびりと農作業をすることで、少しはアデルがリィトの意図を汲んでくれるかもしれない。
そうでなくとも、帝国のめまぐるしい権力争いのなかで暮らす彼女にとっては、トーゲン村のあまり豊かとはいえない土をいじる時間が必要かもしれない。
「あの、アデルさん」
「フラウさん」
「えと。フラウといっしょに、薪ひろい、行くましょう!」
「薪拾い、ですか」
「はい、えっと、東の山、この間、大きなトラさん、でました。騎士さんが一緒に行くですと、フラウたち、安心です!」
花人族たちは、マタタビ酒で猛虎型モンスターを眠らせることができる。けれど、誰かがモンスターを引きつけておくことで、より安全になる。
「……行きましょう、よ」
「え?」
「行くましょう、ではなく、行きましょう……よ。フラウさん」
「あ、えっと、」
「さ、行きましょう。ロマンシア帝国第十五騎士団名誉団長として、薪拾いを引き受けます」
ナイスだ、フラウ。リィトとナビは顔を見合わせた。
アデルは、騎士として頼まれたことは断らないし、断れない。
「さぁ、どちらまで薪拾いに行くのです?」
「はいっ、こっちです! 行きましょう!」
手を繋いで駆けていくふたりの背中を見送った。
リィトのほうで畑仕事を手伝えば、すぐにバーベキューを始められるだろう。
──小一時間語。
「ただいま帰りました」
「お帰り、こっちの食材の準備はバッチリ……って、えぇ!?」
リィトはまさかの光景に驚愕した。
乾ききった倒木を、まるまる一本。アデルが担いで帰ってきたのだ。
「な、なにそれ!」
「……我々が薪拾い中に倒れてきた木です。立ち枯れしていたみたいですね」
「アデルさんが、フラウたちを助けてくれました!」
フラウが熱っぽく喋っている。
すっかり、フラウはアデルのファンになってしまったらしい。
「ありがとう、ナビ。どうかな、アデル……畑仕事と薪拾いどっちを手伝ってくれる?」
「えっ、あの、わたくしが……手伝うのです?」
「うん、よかったら」
この場所でのんびりと農作業をすることで、少しはアデルがリィトの意図を汲んでくれるかもしれない。
そうでなくとも、帝国のめまぐるしい権力争いのなかで暮らす彼女にとっては、トーゲン村のあまり豊かとはいえない土をいじる時間が必要かもしれない。
「あの、アデルさん」
「フラウさん」
「えと。フラウといっしょに、薪ひろい、行くましょう!」
「薪拾い、ですか」
「はい、えっと、東の山、この間、大きなトラさん、でました。騎士さんが一緒に行くですと、フラウたち、安心です!」
花人族たちは、マタタビ酒で猛虎型モンスターを眠らせることができる。けれど、誰かがモンスターを引きつけておくことで、より安全になる。
「……行きましょう、よ」
「え?」
「行くましょう、ではなく、行きましょう……よ。フラウさん」
「あ、えっと、」
「さ、行きましょう。ロマンシア帝国第十五騎士団名誉団長として、薪拾いを引き受けます」
ナイスだ、フラウ。リィトとナビは顔を見合わせた。
アデルは、騎士として頼まれたことは断らないし、断れない。
「さぁ、どちらまで薪拾いに行くのです?」
「はいっ、こっちです! 行きましょう!」
手を繋いで駆けていくふたりの背中を見送った。
リィトのほうで畑仕事を手伝えば、すぐにバーベキューを始められるだろう。
──小一時間語。
「ただいま帰りました」
「お帰り、こっちの食材の準備はバッチリ……って、えぇ!?」
リィトはまさかの光景に驚愕した。
乾ききった倒木を、まるまる一本。アデルが担いで帰ってきたのだ。
「な、なにそれ!」
「……我々が薪拾い中に倒れてきた木です。立ち枯れしていたみたいですね」
「アデルさんが、フラウたちを助けてくれました!」
フラウが熱っぽく喋っている。
すっかり、フラウはアデルのファンになってしまったらしい。