双方、まったくもって他意はないものの、絵面としてはややショッキングなものになっていた。いや、本当に、モフりたい、モフられたいという需要と供給がマッチした結果なのだけれど。お互い、まだ年若いがいい大人だ。

「……マスター、これはさすがにアレすぎます」

「おおう、フラウちゃん。見ちゃダメなのニャッ」

「はわーっ」

「ミーが塞いでてあげるニャ」

「はわわぁ」

 至福のモフモフタイムの間、フラウの目はミーアの肉球ばりにぷにぷにの手のひらで目隠しをされていたのであった。

 我に返ったリィトは、心から思った。


「どうせなら、ナビの絶対零度の視線を隠しておいてほしかった……」


 ともあれ、リィトの隠居生活最大の楽しみである「謎の種子X」についての自由研究はのんびり、まったりと進行中だ。

「まぁ、まさか世界樹ってことはないだろうけど」

 集めて貰った資料に目を通す。

 図表にある種子が、なんとなく謎の種子Xに似ている気がするが気のせいかデマだろう。

 いや、万が一、億が一。

 本当に世界樹の種子だとしたら、あんな小瓶に詰められて、いらない資料の墓場のような物置部屋に放置されているとか──

「……ありえないよな?」

 鉢植えのかわいらしい芽を眺めながら、リィトは呟いた。