「むふぅ……どこの店になんのパッケージを売るかって情報が飛ぶように売れたのにゃ~」

 満足そうな二人。

「そりゃよかった!」

「リィト氏のおかげで、ギルドの連中とも衝突せずに済んでるニャ!」

 リィトがやったことは、なんてことはないパッケージ商法だ。

 畑と農作物の種類を着々と増やしている花人族たちは、特に彼らの大好物で大量の水を必要としないベリー類の栽培に熱心だ。

 今が旬の春ベリー。

 ハイポーションの材料、赤ベリー。

 青ベリーに、黒ベリー、それから、リィトが品種改良に成功したブドウ。

 それらを片っ端から酒に加工したのだ。

 花人族たちの加工技術は謎が多く、花人族たちが足で踏み潰したベリーはなぜか急激に発酵が加速するし、味もいい。

 子どもみたいな背丈の花人族の娘たちが、桶いっぱいのベリーを踊るように踏み潰していく様子はファンシーで可愛らしい。

 というわけで、各酒類のベリー酒のパッケージを変えてみたのだ。

 マンマが情報ギルドで懇意にしている、大手芸術ギルド〈女神の絵筆〉の絵師に依頼して描いてもらった。

 花人族の可愛らしいビジュアルが、トーゲン村のベリー酒の人気をさらに後押ししてくれたようだ。一番人気のミックスベリー酒は、フラウの肖像画がパッケージになっている。

 リィトの知る限り、パッケージに力を入れた酒というのはこの世界にはなかったので、差別化にもなった。

 マタタビ酒は、マンマとミーアが泥酔している様子を絵師がこっそり落書きしたものを、そのままパッケージにしてもらった。

 なんと、売上が二倍近くに伸びたらしい。

 美少女が酔い潰れているコミカルなパッケージが、猫人族マニアたちにも大ウケした形だ。味とパッケージにバリエーションを付けたら、もっと売れるかもしれない。

「うーみゅ、こんなに売上が伸びるとは」

「まぁ、パッケージ商法は定番っていうか」

 リィトは前世を思い出しながら感慨深くなってしまう。よくコンプのために色々買っていたっけ。

「ベリー酒、もっと増産できニャいのか!?」

 目を輝かせるミーア。

 ダイブ儲かっていると見える。

「ん? あまり同じ作物ばかり作るのは、土を疲弊させるからなぁ……」

「そこは、リィト氏の魔導でジャジャーンと!」