たどたどしさは残るが、かなり複雑な内容も話せるようになってきている。ここ数日の上達がめざましい。

「あの……畑、守ってくれる、のが、あの猫さんです」

「モンスターが、畑を守る?」

「疑問。先ほど襲われていたようですが」

「それは、フラウたちも、はじめてでびっくり、です。……たぶん、お肉のにおいで、おなかすいたと思う、ます……いつもは、畑、とか、木の実を食べて散らかす、動物を、おいはらってくれるです」

「ふむ……」

「お礼に、お酒、あげます」

「あぁ、なるほど」

 花人族の天敵は、あの猛虎型のモンスターではないのだ。

 もっと小さい、東の山に生息している小型の獣なのだろう。

 畑を荒らす獣の天敵は、モンスターだ。

 猛虎型のモンスターと花人族は、どうやら共生関係にあるようだ。

 マタタビ酒は、彼らが身を守りながらもモンスターをねぎらうためのアイテムらしい。

(よ、よかった……うっかり毒でやっつけたりしないで……っ!)

 植物というのは、だから面白い。

 花人族と猛虎型モンスターの不思議な共生関係のような、不可思議な法則がそこかしこに隠されている。

 やりこみ気質のリィトにとっては、たまらなく面白いのだ。

「……手伝うよ」

 リィトもモンスターを山に戻す仕事に加わる。

「そこのお客さんも、よかったら手伝ってくれるかい?」

「ふにゃ?」

「トーゲン村が守られた記念だ、みんなで働いて飲み直そう」

「ニャ!」

「お肉も野菜も、まだまだあるからね」

 猛虎型モンスターと同じくマタタビ酒でちょっと千鳥足のマンマとミーアが、行列に加わる。

 モンスターのふさふさの尻尾を掴んで、全員でヨイショヨイショと引っぱった。

「ふにゃあ……力仕事とか久々ですにゃ」

「いくニャッ!」

 山奥に開けている広場まで、猛虎型モンスターを引きずっていくと任務完了だ。花人族が声を揃える。


「「「アリガトーッ!」」」