情報ギルド(こっち)にも一口だけでも飲んでみたい客が情報をもとめて殺到してきますにゃ……ミーアに試飲会の日時を横流ししてもらうだけでもガッポガッポっ! 考察ギルドの連中の鼻を明かしてやったですにゃ……っ! わがはい、感無量っ」

 赤ベリーの納品のときに、お試し用の春ベリー酒と春ベリージュースをミーアに預けた。それから、花人族とベリー酒に関する、本当にちょっとした情報も。

 二人はそれを上手く使って、ギルド自治区ガルトランドで順調に財産を築いているようだった。ちなみに、領土とリィトに関する情報は絶対に流さないようにと釘を刺しているが、このぶんだと約束は守ってくれそうだ。

 ギルド自治区で、二人が作物と加工品の評判を高めてくれている。

 その間にも、リィトと花人族が共同で耕している畑では、様々な作物の安定供給をはじめていた。

(帝国ではマトモに使える土地が少なくて、プランターばっかりだったからな……地植えし放題はありがたいぞ!)

 猫人族コンビが商売繁盛している間に、リィトも充実の日々をすごしていたのであった。

 モンスターとの大戦中に、趣味で密かに品種改良していた豆類や野菜類のいくつかは問題なく育ってくれている。

 カラカラの大地を汲み上げた地下水でギリギリ潤している状態なので、水をふんだんに持っていく作物はまだお預けだ。

 キュウリとかスイカとか、そういうのはキツい。

「うーん、水不足の原因は年間通して調査しないとわからんか」

「うにゃ、リィト氏?」

「いや、独り言」

 さて、とリィトは居住まいを正す。

 今回、猫人族コンビに来てもらったのは、収穫したベリーと酒類の卸のほかにも理由がある。

「どう? まだこの土地のことを調べたり、俺の個人情報で稼いだりしたい?」

 リィトの問いに、二匹はぷるぷると首を横に振った。

「「ノーにゃ!」」

「お、息が合ってるね」

「リィト氏と組めば、ドバッと稼いでも、次の月には閑古鳥……そんな悲しい日々とはオサラバできそうだニャッ!」

「ふにゃ……同意ですぞぅ。グルメ情報があんにゃに売れるとは、わがはい夢にも思わなかった」

「……そりゃ、基本どこもメシマズだからね」

 第一段階はクリアだ。

 リィトはとりあえず、旨いメシを食いたい。

 のんびり隠居ライフも、飯がまずければ台無しだ。