〆切を倒した朝に黒ベリーの抽出液、要するにコーヒーを啜りながら朝市で売られているドーナツをかじるのがマンマのお気に入りだ。
二日酔いのときには、ドーナツがらぁめんに変更になる。二日酔いのときほど、重いものを食べたがるマンマである。
「ふにゃぁ~、わがはいの記事は今回も大人気だったにゃぁ~」
「うなーっ! そのドーナツは売り物なのにゃ!?」
出店のテントの横に座り込んでコーヒーをはふはふしているマンマの横で、短毛の猫人族の少女が大声をあげた。
商人ギルド〈黄金の道〉のエース、ミーアだ。
地獄の品薄になっていた赤ベリーをどこからともなく入手してきて、さらには安定的な仕入れルートを押えたとなれば、ギルドの中でも一目置かれる存在になる。
「ふふん。ドーナツは〆切明けのわがはいにこそふさわしいのにゃぁ~」
「ぐぎぎぎ、これから労働するミーこそドーナツ食べるべきにゃ!」
「ふぁ~。ごほーびを先に食べようなんて、ふてぇやつであるにゃぁ……って、あいてっ!?」
はふぅ、と欠伸をするマンマの顔面に、細身な尻尾がアタックをかました。
「何をするにゃ!」
「ミーがあくせく働いている横でドーナツを満喫しているやつは、こうにゃ! こうにゃあ!」
「ふにゃぁ~~~~っ」
情報ギルド〈ペンの翼〉のマンマ。
商人ギルド〈黄金の道〉のミーア。
猫人族同士、昔からの腐れ縁だ。
どちらも耳の早さと足の軽さが命の仕事をしている同士、お互いに持ちつ持たれつの関係だ。
「というか、ミーは朝市で荒稼ぎした後で旅に出るのにゃ! 鈍行の馬車で一週間もかかるのにゃ。とっても大変なハードワーク週間なのにゃ!」
「うにゃ……運送ギルドを紹介してあげてもいいけどぉ~? 竜車特急なら、三日で着くにゃ~……ふぁーあ……ぐー……」
「寝るにゃよ! 話の途中なのにゃ!」
「はっ! すまにゃい、わがはいとしたことが……。しかし、ミーアよ。そのような遠方に、なにゆえ出向くのにゃ。行商ギルドに鞍替えかにゃ?」
「ちがうにゃ」
ミーアがぷるぷるとかぶりをふる。
腰を据えて商業に勤しむ商人ギルドと、各地を旅する行商ギルドは姉妹ギルドだが、ちょっとしたライバル関係にあったりもするのだ。
「聞いて驚け……例の魔導師に、色々売りにいくのにゃ!」
「にゃ?」
二日酔いのときには、ドーナツがらぁめんに変更になる。二日酔いのときほど、重いものを食べたがるマンマである。
「ふにゃぁ~、わがはいの記事は今回も大人気だったにゃぁ~」
「うなーっ! そのドーナツは売り物なのにゃ!?」
出店のテントの横に座り込んでコーヒーをはふはふしているマンマの横で、短毛の猫人族の少女が大声をあげた。
商人ギルド〈黄金の道〉のエース、ミーアだ。
地獄の品薄になっていた赤ベリーをどこからともなく入手してきて、さらには安定的な仕入れルートを押えたとなれば、ギルドの中でも一目置かれる存在になる。
「ふふん。ドーナツは〆切明けのわがはいにこそふさわしいのにゃぁ~」
「ぐぎぎぎ、これから労働するミーこそドーナツ食べるべきにゃ!」
「ふぁ~。ごほーびを先に食べようなんて、ふてぇやつであるにゃぁ……って、あいてっ!?」
はふぅ、と欠伸をするマンマの顔面に、細身な尻尾がアタックをかました。
「何をするにゃ!」
「ミーがあくせく働いている横でドーナツを満喫しているやつは、こうにゃ! こうにゃあ!」
「ふにゃぁ~~~~っ」
情報ギルド〈ペンの翼〉のマンマ。
商人ギルド〈黄金の道〉のミーア。
猫人族同士、昔からの腐れ縁だ。
どちらも耳の早さと足の軽さが命の仕事をしている同士、お互いに持ちつ持たれつの関係だ。
「というか、ミーは朝市で荒稼ぎした後で旅に出るのにゃ! 鈍行の馬車で一週間もかかるのにゃ。とっても大変なハードワーク週間なのにゃ!」
「うにゃ……運送ギルドを紹介してあげてもいいけどぉ~? 竜車特急なら、三日で着くにゃ~……ふぁーあ……ぐー……」
「寝るにゃよ! 話の途中なのにゃ!」
「はっ! すまにゃい、わがはいとしたことが……。しかし、ミーアよ。そのような遠方に、なにゆえ出向くのにゃ。行商ギルドに鞍替えかにゃ?」
「ちがうにゃ」
ミーアがぷるぷるとかぶりをふる。
腰を据えて商業に勤しむ商人ギルドと、各地を旅する行商ギルドは姉妹ギルドだが、ちょっとしたライバル関係にあったりもするのだ。
「聞いて驚け……例の魔導師に、色々売りにいくのにゃ!」
「にゃ?」