翌朝は快晴。微風が気持ちよい天候。

 リィトは街へと繰り出した。

 運送ギルド御用達の宿だったこともあり、朝食はものすごく豪華。久々に食べ過ぎてしまった。特にぶ厚く切ったハムが上等だった。

 ギルド自治区〈ガルトランド〉は肉やチーズが盛んに食べられているらしい。とても美味しいけれど、すこし胃にもたれてしまう。

 まぁ、野菜だったら食べ放題なんだけど。土地さえあれば。

「そう、土地だ」

 リィトはギルド自治区の中央地区にやってきた。

 中央区にある土地管理局。下大陸にあるギルド自治区が管理する土地の売買や貸与を行っている公の機関だ。

 土地管理局は大きなビルのような建物。

 リィトの背丈の五倍はありそうな鉄の扉をくぐると、くたびれた中年のおじさんが「受付はこっちね」と案内をしてくれた。

 うん、優しそうな人だ。

「ご用件は?」

「はい、えーっとですね、実は……」

 大きな買い物だ。

 前世でも今世を合わせても、人生で最大の買い物かもしれない。

 そう思うと、緊張してしまう。大きく深呼吸。落ち着け。

「なんだい、坊ちゃん。もじもじして……あ、もしかして」

「は、はい!」

「おしっこか?」

「違いますっ!」

 どうしてギルド自治区の人間はすぐに他人がおしっこを我慢していると思うんだ、ちなみに大きい方でもない。

「大きいほ」

「違います、全然違う!」

 リィトの出した大声は、思ったよりも反響してしまった。

 仕切り直しだ。

「こほん」

 リィトは大切に持ってきた財布がわりの革袋を、どさっと机の上に置く。

 こないだの大戦での報奨金や、今までの宮廷魔導師としての給料だ。

「え?」

「土地を買わせてください」

「ええ、土地を?」

「はい」

 こういった商談では堂々としていないと。

 リィトはゆっくりと人差し指をたてる。

「ガルトランドでは下大陸の土地を自由に売買することができると聞きました」

「ええ、そうですが……あなた、所属ギルドは?」

「ギルドには入っていません」

「ふむ、そうなるとガルトランド周辺の土地で買えるところは限られてしまいますよ」

 ギルド構成員に優先の売買権がある、ということだろう。